平成25年4月  N0.32


 早春の候、皆さまにおかれましては、ご清栄のこととお喜び申し上げます。
 昨年末の衆院選におきましては大変お力添えをいただき誠にありがとうございました。皆さまのお陰で冨岡氏が見事当選を果たし、県下全選挙区、全国においても自民党は大勝し、安倍政権が発足いたしましました。
 安倍首相は施政方針演説で、経済外交、安全保障、教育など広い分野で「安倍色」がにじむ内容を述べました。現在・未来に向けた「真の保守」を目指した内容だったと思います。冒頭「『強い日本』それを創るのは他の誰でもありません。私たち自身です」と述べました。
 「強い日本」とは何も外交・安全保障も限ったことではないと思います。経済・国民生活すべてを含めて、国民が日本を「強い国」と実感し、誇りを持つことが出来るようにすることだと思います。
 国民生活に直結する「経済の立て直し」には三本の矢を進め、企業・国民の取り組みを求めています。
 外交・安全保障についても、国民の支持が必要と述べています。「戦略的外交」「普遍的価値を重視する外交」国益を守る「主張する外交」を展開するとしています。国民生活にとってあるいは国として「強い日本」を創ることに反対する人はいないと思います。国民一人ひとりが自分の役割の中でどう取り組むかが課題であると思います。
 安倍政権が長期安定し、政策が実現していくかどうか、それはひとえに7月の参院選にかかっています。6年前の参院選で自民党が敗北して以来、国会は参衆ねじれ現象が生じ、「きめられない政治」が続いてきました。国民は与野党が批判合戦に終始し、足を引っ張り合ってきた国会の姿にうんざりしていると思います。野党は従来の「批判型」から「提案型」に転換すべきです。「何でも反対」ではなく「こうすべきだ」という具体的な政策提言をして、政府与党を突き動かし、実現に導くことが重要だと思います。批判ばかりで自らの政策が見えないと判断された政党は敗北するだけだと思います。
 昨年の衆院選は戦後最低の投票率となりましたが、参院選はおそらく、今後の日本の政治を決める大決戦になると思います。多くの有権者にそのことに気づいていただき、意思表示を明確にお願いしたいです。
 本市市政につきましては先の定例市議会で平成25年度当初予算が成立し、各種事業が展開されています。田上市長は施政方針の中で、第四次総合計画が目標とする「個性輝く世界都市」「希望あふれる人間都市」その実現に向けて、着実に歩みを進めると決意を述べています。
 国や県の動きや仕組み頼るだけの「依存型」から、自ら選択、発想する「自立型」に、市役所内だけで取り組む「自己完結型」から市民・企業と協力しながら新たな成果を生み出す「恊働型」へ、更にすでにある仕組みや事業を確実に実行する「維持管理型」から新たな発想、仕組み、手法を取り入れた「創造型」へという理念を持って市政運営を行うと述べています。市長にとっては2期目の折返し時点の決意に期待します。
 私は本市の諸事業の進捗状況を精査いたしつつ、これまで通り、是々非々の立場で、発言行動して参りたいと思います。


市庁舎は公会堂敷地
市庁舎跡に文化施設


 市は1月25日老朽化や耐震強度不足などで建て替えを検討していた市庁舎(桜町)いついて、新市庁舎を現庁舎近くの市公会堂敷地に建設すると正式に発表した。公会堂は取り壊し代替施設として、市庁舎跡地に建設する方針である。
 現庁舎は本館、別館など9ヶ所に分散しているが、新庁舎はコスト圧縮や市民の利便性向上のため、1棟に集約する。新庁舎は述べ床面積は5万平方メートルを想定し、最大13階建てで高さ50〜60メートル。事業費は約200億円、本年度に基本計画を策定し、平成26年度中に設計に着手し、平成28年度中に着工、平成31年度中の完成を目指している。
 公会堂の代替施設については1000席程度を想定。市庁舎の解体後に着工し、平成34年度中の完成を見込んでいる。長崎くんち奉納踊りの会場に使われている公会堂前広場に代わるスペースは、現庁舎跡地で確保される。事業費は約30億円。市は計画段階で市民が参画できる方法を検討するとしている。
 市長は現地建て替えでなく公会堂敷地で1棟に集約して建設する理由について、現地建て替え工期8年、公会堂敷地工期3年と工期が短く、市民の利便性や建設コストの縮減、職員の業務効率を重視した点を挙げた。また、「市中心部に150メートルほど近づくことから、長崎駅と県庁と”まちなか”をつなぐ場所となる。人の流れをつくるプラス要素がある。まちのにぎわいにも貢献できる。」と述べた。
 市庁舎建設事業費は200億円程度を想定しているが市庁舎建設基金は昨年度末で110億円で、財源が90億円不足している。市長は、「コストの圧縮に努め、有利な地方債を活用したい」と述べた。市議会質問で提案された市民債の活用も検討する模様である。
 新市庁舎の建て替えと場所の決定がなされたことを良とする。しかし課題として建設費の財源確保が残っている。厳しい財政状況の中、これから10年、大型事業ラッシュが続く中、慎重な財政運営と市債による市民の協力を得るにつけ、市民への説明責任が求められる。
 大型事業として、新市立病院建設、長崎駅周辺土地区画整理事業、廃棄物焼却施設「西工場」の建て替え、大型コンベンション施設の可能性の調査等々、中期財政見通しでは5年間で約56億円の収支不足を予想し、収支バランスを各種事業費削減を行い保つ方針だが、市民生活を圧迫するような削減では困るのであり、今後の財政運営に市長の手腕が問われるところである。


まちぶらプロジェクト 着手

 平成34年の九州新幹線西九州ルート開通を控え、長崎駅周辺土地区画整理事業で現在地より浦上川寄りに約150メートル移動する長崎駅舎、駅前広場の整備、MICE、コンベンション施設も現在調査検討中である。駅舎には大型商業施設の導入も考えられる。また県が進める連続立体交差事業が完了し、県庁舎が平成28年度に魚市跡地に移転、等々この10年間に本市の都市像、人の流れ、重心が大きく変わる可能性が大である。今でさえ人の流れは駅周辺に移りつつあり、中心商店街に影響が生じている。そこで現在のまちなかの賑わいを維持確保しつつ、バランスのとれた都市づくりが求められる。
 市は新大工地区から南山手地区をつなぐ歴史ある5つのエリアの魅力向上に取り組む姿勢を示し、まちぶらプロジェクトとして本年度から具体的取り組みを始めた。
 市長の施政方針に詳しく述べられているので一部を抜粋し紹介する。
 『「まちなかエリア」においては、新大工から浜町を経て、大浦に至るルートをまちなかの軸と設定し、この軸を中心とした5つのエリアそれぞれの個性や魅力の顕在化による賑わいの再生を図るため、「まちぶらプロジェクト」の具体化に着手します。回遊路や公衆トイレなどの市が取り組む整備とあわせて、まちなかの賑わいを生み出そうとする市民や商店街の皆さまの様々な取り組みについてもハード・ソフト両面からの展開を促進します。新大工エリアでは、商店街等と連携した活性化の取り組みや、近隣のふれあいセンターとの動線づくりの検討など実施します。中島川寺町丸山エリアでは町屋の保存活用や和のまちなみの形成、アリア内の歩きやすい環境を整える中島川川端やししとき川沿いの道路整備、魚の町公衆トイレの整備など実施します。浜町銅座エリアでは国際クルーズ船の受け入れ促進や新たな賑わいの仕掛け、路地裏魅力を顕在化する取り組みなどを実施し、銅座地区に於いては防災や交通上の問題解決と地域の魅力を高めるため、銅座川プロムナードの整備に向けた調査を実施します。館内新地エリアでは、「唐人屋敷顕在化事業」を推進するとともに唐人屋敷誘導門の建設に取り組むほか、出島とまちなかを結ぶ動線を強化する歩道の整備など実施します。東山手南山手エリアではグラバー園内洋風建物9棟保存活用を進め、旧香港上海銀行での孫文、梅屋庄吉常設展示の整備を行います。
 これら五つのエリアをつなぐ軸づくりとしては、10年後のまちなかの未来像を市民や企業等と広く共有するための「まちなか未来予想図」を作成し、まちなかのさまざまなイベント等の情報を発信する「まちぶらプロジェクト情報板」を中心市街地に掲示します』以上である。
 まちなかの賑わい創出の想いは伝わって来る。ほぼ更地に近い駅地区の計画推進と比較し、まちなかの整備には多数の土地・建物、営業等私有権の問題課題が混在し、「まちなかプロジェクト」推進は極めて厳しい環境であると思う。都市基盤整備は行政の大きな責務である。計画推進に当り関係者に思い切った税制上の優遇措置を考慮する必要があると思う。この4〜5年はまちなかにとって和華蘭文化を具現する重要な年だと思う。


議会質問Q&A

吉原孝は12月定例議会において自由民主党を代表して一般質問を行った。今回は教育問題一本に絞り、教育委員会の教育行政の見解を質した。下記の項目について質問した。

(1)国旗、国歌「君が代」愛国心の取り組み
(2)道徳教育の実施状況
(3)学力向上策
(4)教職員の資質の向上策
(5)いじめへの対応

Q.(1)平成11年国旗・国歌法が制定され、国旗を掲揚し、国歌斉唱するよう記されている。教育基本法改正により愛国心条項が記されているが教育現場では?
A.(1)平成18年に教育基本法が60年ぶりに改正され、新教育基本理念が明確になり、伝統や文化に関する教育の充実、国旗国歌「君が代」の指導、郷土や国を愛する心を育てるための教育を行っている。国歌斉唱は式典では全ての学校で実施。国旗の掲揚も実施している。

Q.(1)再質問  市立幼稚園・市立保育所での国旗・国歌の指導は?
A.(1)2幼稚園9保育園では国旗を開園時に掲揚していないので指摘通り、今後国旗を掲揚し、国歌の指導も徹底する。

Q.(2)自制心の希薄化、基本的生活習慣の定着の不十分さ、生活に対しての定着の不十分さ、生活に対しての無気力化などの課題解決のため道徳教育の充実を図るべき・・・。
A.(2)課題解決のため道徳教育の果たす役割は大と考える。道徳教育推進教師を全小中学校に配置し、充実に努めている。道徳教育の研修は毎年教員の1/3を対象として実施し、3年毎に全員が受講する体制を整えている。

Q.(3)平成14年学校週5日制の実施により、いわゆるゆとり教育により、学習時間3割減、授業時間数削減により国際比較が可能なOECD学習到達度調査で学力低下が顕著となっているが・・・。全国学力テストの検証と向上策は?
A.(3)本市の学力の状況は全国と比較してほぼ全国平均並みである。学力推進校を指定し学力向上に向けた研究を推進している。課題があれば放課後補充学習や個別プリント学習で学力向上に取り組んでいる。少人数指導の加配教員を各小中学校に1〜2名配置し、基礎学力の習熟に努めている。

Q.(3)再質問  学力低下の原因は授業時間数の減少に起因すると思う。土曜授業の復活を図るべきだが・・・。
A.(3)授業時間数の確保策として長期休業を短縮したり、隔週の土曜日に授業を実施するなど今後研究して参る。

Q.(4)教職員の資質が教育効果向上に果たす役割は多大だと思う。教員免許更新制度の運用と資質向上策を示して欲しい。
A.(4)教員免許更新制は平成21年から導入されている。10年毎に1回講習を受講終了することが必要となっている。初任者研修、基本研修、専門研修、服務規律研修など種々の研修を行っている。2年に1度全ての小中学校の教員の授業を指導主事が参観し指導している。

Q.(5)いじめは社会問題となっている。いじめ撲滅の大原則は「するを許さず」「されるを責めず」「いじめに第三者なし」だと思うが取り組みは? 警察との連携は?
A.(5)いじめに関しては年3回本市独自調査を行い、いじめの早期発見・早期対応に努め、いじめ防止に向けた積極的対応を行っている。警察との連携については、学校・警察が相互に協力する協定を結んでおり、日常的に情報交換を行いながら各種問題行動の未然防止に努めている。

Q.(5)再質問  いじめを市民全体の問題として取り組むために、いじめ防止条例の制定が必要だと思うが?
A.(5)=市長答弁=いじめを赦さないという意志を市民と共有するという意味から、いじめ防止条例制定に向けて具体的に検討したい。



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