平成24年4月  N0.31


 皆様にはご清栄のこととお喜び申し上げます。3月16日、市議会本会議で本年度一般会計予算が可決され、田上市長2期目初の通年予算が承認されました。
 歳入のうち、自主財源はもともと予算総額の3割強にすぎません。
 市税収入を確実に増やすには、地場産業の振興策、まちづくりが鍵を握ると思います。
所得の低迷、人口減少に歯止めをどうかけるのか、実績が問われる1年になりそうです。
 3年後、いや10年後を見据えて、成果が上がるよう議会の内外で、私は発言行動して参りたいと決意を新にしています。
 現在の我が国の焦点は、社会保障と税の一体改革がどうなるかだと思います。消費税増税については、「民主党は平成21年の衆院選で"やらない"と云った。自民は22年参院選で"10パーセントを公約した"」と互いに相手の不正直を追求しています。
 自民党の谷垣総裁は民主党の消費税に対し、「増税しないと云っていたのに二枚舌だ。」と攻撃し、増税の前に早期解散、総選挙論を展開しています。総裁自身は、「責任ある野党として10%程度の消費税は必要だ」と断言していました。
 現在の反対論は手続論ではないでしょうか。
 民主党は経験不足から政権と議席の維持に汲々とするだけで、さりとて自民党への期待感が回復しているわけでもありません。目先の政争に関心を集中させ、国家の再構築に向けて自分達が政権を奪回したらこうするという明確なメッセージを国民に伝えきれていないと思います。自戒すべきです。国の将来を見据えた国家感に立った議論を行うべきだと思います。
 私は税と社会保障一体改革は我が国の経済再生、政治改革、行政改革とも一体で、まさに包括的に進めなければならない大きな改革だと思います。政治、政治家が果たさなければならない責任だと思います。
 超高齢化少子化の人工動向の中にあって、これまで社会を支えてきた団塊の世代が「支える側」から「支えられる側」に変わりつつあります。多くの現役世代で高齢者を支えていた「胴上げ型」の人口構成は今や3人で1人を支える「騎馬戦型」となり、いずれ1人が1人を支える「肩車型」に確実に変化していきます。
 いまのままでは、将来の世代はその負担に、耐えられません。改革を先送りする時間は残されていないと思います。
 1000兆になんなんとしる累積債務が増加する財政上も、円高による企業の海外シフトによる産業空洞化など国際経済上も消費税増税を見送る上京にはないと思います。
 この国は今を生きる我々だけのものではないと思います。未来に向って生きていく将来の世代をもまもらなければならないと思います。
 次の世代、子や孫に負の遺産を残してはならないと思います。従って負担を先送りしてはならないと思います。
 皆さんと共に、税と社会保障の一体改革の結末を注視しようではありませんか。
 私も地方議員として強い関心を持って取り組んで参ります。


長崎市新年度当初予算
一般会計
4年ぶり減2131億円
まちなか「見える化」重点配分


 市議会は平成24年度当初予算案を原案の通り可決した。対前年比11億円の減で、4年振りの減となった。市政100周年の大型事業の建設費に充てた借金返済が減じたことによる。11の重点プロジェクトに観光やまちづくり、地域活性化策を組込み27億4千万円を配分した。
 市長は「経済が縮小する中、次の10年の長崎の基盤となる予算編成をした」と述べた。
 市長は予算編成方針について従来の前年度予算をベースとした「前倒踏襲型」から「戦略型施策推進型」へ予算編成を見直し、部局長が各部局の経営者であるという意識のもと、目標・成果を意識して予算編成を行ったと述べ胸を張った。
「地域経済の活力の創造」など8項目の市政の重点テーマと市庁舎建替など11の重点プロジェクトで田上カラーを打ち出したが、多岐にわたり総花的な印象と各事業の予算規模の小ささは否めない。
人口減少や景気低迷が続く中、市を取り巻く環境は厳しく、市長は予算の成果を上げることで、まちづくりの方向性をしっかりと示すことが求められると思う。


○「新庁舎」基本積み立て再開
11の重点プロジェクト


組織横断的な重要施策を定め、スピーディーで着実な推進を図らんとする11の重点プロジェクトの本年度の主なもの

○市庁舎建設プロジェクト
 新庁舎建設場所など基本的事項を決定し、基本構想の策定に着手する
 本年度新規基金積立金 5億円(累計109億円)

○長く元気でプロジェクト
 市民の死因の約60%を占める生活習慣病にかかることなく、要介護の状態になることを予防し、健康寿命を延ばす施策を推進する
 包括的支援事業費など 5.1億円

○長崎サミットプロジェクト
 経済の衰退に歯止めを産官学7団体の長からなる「長崎サミット」を開催し、課題の共有やトップダウンによる経営戦略推進プロジェクトの早期実現を図る
 事業費(6700万円)

○上海航路プロジェクト
 上海航路の母港が長崎となるため、本市への経済効果を生み出すビジネスモデルを官民連携で造り出す
 事業費(1億6000万円)

○MICE施設設置のプロジェクト
 コンベンションを始めとするMICEの開催は各分野で大きな経済効果を発揮する。民間活力を生かした事業形態を検証し決定する
 事業費(1200万円)

○まちなかの魅力《見える化》プロジェクト
 まちなかの回遊性を促し、賑いの創出を図るため新大工から浜町、大浦に至るまちなか軸(長崎の歴史文化の軸)の面のまちづくりと軸づくりを実施、歩いて楽しめる基盤を整える。
 (面のまちづくり 5億1000万円)
 (軸のまちづくり 4億9000万円)

○都市再生プロジェクト
 新幹線整備を契機とした長崎駅周辺の再整備
 事業費(5億3000万円)

○出島表門橋架橋プロジェクト
関係地権者と交渉を進め3年以内に工事に着手する。


議会質問Q&A

 吉原孝は9月議会において自由民主党を代表して一般質問を行った。県庁舎移転問題と中心市街地活性化策について市長の見解を求めた。
 県庁舎移転問題に関して、市長は県の動向を是認した。しかし吉原孝の質問に沿う形で直ちに県庁を訪れ、津波、地盤沈下、液状化に対する危惧と対策について要請行動を行った。また、まちなか再生策については24年度予算に、質問の要求に答えて予算化されたと自負している。
質問事項は次の通りである。

○現県庁舎移転問題について
Q. 分散化・狭いつ化・耐震不足など問題が指摘され、魚市跡地埋立地へ移転新築すべく3.6億円の予算計上して設計作業に入らんとしている。
 県庁舎移転には反対である。3.11の大震災により地震津波地盤液状化の不安が市民の間に提起された。防災の拠点である県庁舎は地盤が市内で一番強固な現在地で建替るべきではないか、主体は県だが市長の考えは?
A. 3.11以降防災上の安全性について心配する声があることは承知している。地震時の安全性、地盤の液状化に対して十分な措置を講じていると伺っている。安全性の確保について再度十分に説明責任を果すように要請する

○まちなか再生について
Q. 歴史的文化や伝統を数多く残し、さまざまな都市機能が集中するまちなかにおいて活性化を図るべきである。その方策は
A. まちなか軸のエリアの魅力を高め、長崎の和華蘭の魅力を「見える化」する取組みを進める。まちなか軸の歩道や街灯・休憩広場の整備など歩く環境づくりを進める。中島川・寺町エリアに町屋の改修町屋風修景に整備助成を行っている。館内新地エリアでは唐人屋敷顕在化事業、東山手、南山手では洋館活用策に取組んでいる。事業の重要性を十分認識しているので重点化スピード感をもって推進したい

Q. 遊休公有地に船蔵を兼ねた長崎くんち施設の整備を図るべきと考えるが
A. 長崎くんちが抱えるさまざまな課題を検討解決するための長崎くんち振興懇話会が設置されている。そこで意見を聞き判断したい

Q. 中心商店街である浜んまちは近年、商業を取り巻く環境が大きく変化し、年々厳しさが増しているがどう考えるか
A. 時代の変化のもとでは、従来の個別の取組みだけでは限界があり、地域全体としてまちの魅力や資産価値の向上を図ることが不可欠との考えから、地域全体が主体的に取り組むエリアマネージメント事業を展開している。  この基本戦略は、にぎわいをつくる。歴史文化を生かしたまちをつくる。国際化への対応、個店や各商店の魅力をつくる、消費を促す柱としている。この事業を促進する。

Q. 昭和20年代に相次いで計画された都市計画道路がまちなかに5路線あり、50年近く未着手となっているが、見直し方針があると伺うが見直しの進捗状況を
A. 事業着手の見直しの立っていない都市計画道路について、必要性と実現性の両面から評価し適切な変更を行おうとしている。この路線については平成21年10月見直し方針を策定し、平成22年8月より地元説明を13回行い、合意形成が図られる路線について順次変更手続きを進める。


新市立病院建設
地域医療の拠点に


 平成26年2月1期棟完成開院、平成28年5月全面開院を目指し、2月より建設工事が始まりました。
 新市立病院は施設の建設や管理、運営に民間の資金、ノウハウを活用するPFI方式を導入。(株)「長崎ホスピタルパートナーズ」が契約額172億円(21年間)で事業を受けました。
 建設地は現在の市立病院の敷地と更地の隣接部分の計1万1018平方メートル。
 現在の市立病院を開院したまま、まず更地に地下2階地上8階建の「1期棟」を造り、平成26年2月に開院。その後、現在に地下1階地上4階の「U期棟」を建設します。
 地上5階の立体駐車場を整備し、収容台数を現在の85台から350台に増やし、利用者の利便性を図り、病院建設費は総額約110億円です。
 新病院は成人病センター(同市渕町)を統合し、病院機能の柱をER型救命救急センターを整備し、事故や緊急手術に24時間365日対応とし、脳や心疾患・ガンなど高度急性期医療に重点を置き、ハイリスク出産など周産期医療も充実します。
 結核病棟は13床に減らし存続させます。ベッド数は現在の両病院計590床が513床になります。
 病院局は病院運営について、将来計画を説明しました。それによりますと、1期棟完成までに救急医療の確立を図り、5年度迄に医療の国際化、メディカルツアーへの対応を強化し、10年後病院の特徴的医療の実践を図るという事でありました。
 機能充実に向けて院内体制の整備、地域医療との連携強化、医師・研修医の育成・確保、高度専門医の招聘など、マンパワーの充実が課題であると思います。


編集後記
 この9月で民主党政権が発足して3年となります。マニフェストに期待した国民は多かったと思いますが、鳩山・菅政権は国民の願いを次々と裏切りました。政治に対する信頼を失墜させたと思います。野田首相の「正心誠意」内実に国民は疑問符を付けているのではないかと思います。政策遂行の真贋が問われています。


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